(読者の声2)NHK特集「150年まえの“一等国”」を台湾生まれの友人

(読者の声2)NHK特集「150年まえの“一等国”」を台湾生まれの友人からの知らせで8日00:45からの再放送で視ました。

 若干の基本的な間違い(台湾人の大部分は移住した漢民族と原住民との混血者で、現地では「漢民族」そのものとは認識してない。言語は台湾語が日常語の主力として使われており「中国語」(北京語)とは区別されている。)をべつにして、内容のひとつひとつには部分として「嘘」はないと思いましたが、なぜか全部否定面だけに終始していました。
 台湾の植民地統治史を虚心に調査して構成すれば、特別の意図を持たないかきりこのような内容のものにならないでしょう。登場した柯徳三さんが、日本人の台北一中の同窓生に話したそうです。否定発言だけを取り上げられて、肯定発言は全部没にされたので憤慨していると。
 NHKが、どうして、なんのために、このような偏頗な内容の番組を放映したのか、理解に非常に苦しみます。NHKオンライによると、この番組は「プロジェクトJAPAN」という3年にわたる日本の近代史紹介の大プロジェクトのトップ番組であり。この秋には「坂の上の雲」の放映が予定されてことがわかりました。
 プロジェクトの意図は理解できますが、このままでは、台湾の植民地統治史をほとんど知らない人には「大きな嘘」をつく結果になりかねません。NHKの対応次第では視聴料の不払いが拡大しても不思議はなく、NHK自体が招いた失態になります。
(阿生)



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(読者の声3)貴誌、通巻第2541号で『(読者の声1)先週、拓殖大学で行われた講演で、井尻千男先生は「日米が開戦に至ったのは歴史的必然性を持つものだ」という明快で切れ味の鋭い聴講者をぐいぐい惹き込むものでした。』とありました。

戦前のチャイナウォッチャー長野朗の本を何冊か読んだのですが、大正時代からすでに中国大陸における日本と英米の利害は大きく対立していた様子がうかがわれます。
第一次世界大戦で欧州諸国が貿易どころではない隙に日本が中国で躍進
・長江流域はイギリスの利権だったのに日本が利権を脅かした
・繊維製品など英国製よりも日本製の方が現地の好みに合いよく売れた
英米は中国でキリスト教会と大学を建て、そこで反日・排日をしきりに煽った
満洲の鉄道利権にアメリカは共同経営を持ちかけるが、英米の共同管理・共同経営というのはまやかし。実績・資本にものを言わせいずれ独占してしまう(例として中国の税関や塩税の管理は英国が独占)
・英国は雲南チベット・新疆などでしきりに反政府活動のテコ入れをしている(中東ではアラビアのロレンスでしょうか)
第一次大戦で無傷だった米国は製品の販路及び資本の投資先として中国に狙いをつけていた。
このあと大恐慌が世界を覆い第二次世界大戦に繋がっていくのですが、戦前の日本だけが悪かったみたいな洗脳・自虐史観とはおさらばしたいものです。
「人間は世界を幻のように見る」と言ったのは竹山道雄でしたが、日本のマスコミ・政治家はいつまで平和憲法だの日米同盟だの日中友好だのの幻を見続けようとしているのでしょう。
   (MC生)


宮崎正弘のコメント)竹山さんの名言、思い出しました。40年以上前、鎌倉の自宅に竹山先生をお訪ねした時の情景を映画のシーンのように思い出しました。
(読者の声1)NHKの反日番組について。
NHKの偏向番組への非難轟々ですね。NHKのことですから「植民地支配=悪」という前提で番組を作るだろうから、まあ予測の範囲内。
高金素梅でも出して靖国非難でもするのでは、と思っていたので、NHKにも少しは良識が残っていたらしい。ナレーションなどで日本の台湾統治が悪であったかのように誘導しようとしますが、日本の軍歌を楽しそうに歌う老人たちの映像をみれば日本の統治がどんなものだったか明らかですね。
   (PB生)


宮崎正弘のコメント)高金素梅(山岳民族選挙区、立法委員。反日で有名)は、いまそれどころじゃないです。不倫がばれてホテルからでたところをフォーカスされ、台湾の新聞が大騒ぎ。これで政治生命が終わりになるか、それとも大らかな台湾人には、この程度のスキャンダルでは誰も驚かない ? ◇
http://www.melma.com/backnumber_45206_4441388/
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  「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
      平成21年(2009年)4月8日(水曜日)貳
         通巻第2555号
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連載(2)
 G20は終わって、危機は去ろうとしているのか
  財政出動、全世界で500兆円という中味は張りぼて
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 ▲ファンダメンタルズは良好なのに、なぜ日本は最悪に評価されるのだろう?

 G20の結論で「危機克服」が謳われた。
 世界経済はことし、プラス2%成長への協調、財政出動は500兆円、IMFの資金基盤は三倍、金融システムの監督に「安定化理事会」。ヘッジファンドを規制、保護貿易主義を回避など幾つかの柱が合意された。

 また各国の対策が総括された。
 米国は雇用問題対策として失業保険の給付期間延長、フードスタンプの増額、需要喚起のために個人所得税減税、設備投資減税、そして橋梁の立て替えなど公共投資の拡大策がとられる。
 しかし、米国の失業率は8%台からさらに悪化傾向、まもなく10%を超える。
 
 英国は失業者の休職支援、職業訓練の拡充。中小企業貸し出しへの政府保証、付加価値税の引き下げを行い、公害対策やCO2削減のための設備投資、エコカーの税金減額などを謳う。

 フランスは中小企業雇用助成金低所得者向けの減税、住宅取得へのさまざまな支援策、省エネのための住宅修理改築支援強化など。
 ドイツは職業訓練強化、時短労働者支援、エコカーの税金一時免除。児童手当の支給など従来の政策を拡大する程度。

 中国は社会保障の強化拡充、低所得者向け住宅の建設、農村の家電製品購入支援、自動車買い換え支援(補助金)、鉄道、道路、橋梁、ダム、トンネルなど公共事業の拡大、このために地方債の発行を認め、銀行の株式投資も解禁とかなり荒っぽく、メンバーのなかでは、もっとも意欲的で大々的に見られる。

 中国の景気振興策は世界が期待するが、どうやら張り子の虎だ。
 ところが中味をよくよく検討すると、従来謳ってきた予算を全部含んだ総合対策で、目新しい部分が少ない。そのうえ公共事業偏重は、かならず反動を産む。投資過剰への反動不況がやがて(おそらく上海万博前後に)現出するだろう。
 
 日本は追加経済対策を決定したが、市場の反応は極めて鈍かった。
 つまり、経済の基本構造が整い、ファンダメンタルズが最高なのに、なぜ日本は最悪に評価されるのだろう? それが問題なのだ。


 ▲兵力の逐次投入の愚を繰り返すのではないのか

 基本的な疑念は全世界的規模でなされると「計算」される、総額500兆円の中味である。
 各国は既に発表済みの数字が羅列されたうえ、真水が薄い。つまり、財政出動のみならず、歳入減による財政赤字社会保障費の増加分まで含んでおり、2008年から2010年までの予測数字の最高額を紙に書いて薔薇色の財政出動で協調を演出した気配濃厚なのだ。

もし本当に世界中で500兆円もの財政出動があるのなら、これは世界GDPの10%。しかるに、これで世界GDPの4%成長が目標というのも単純に計算が合わない。

 雇用を、これにより世界で1900万人の就労が創出されるという数字も、まったく根拠が曖昧である。最終宣言では「数百万の雇用維持」とされている。
 玉虫色というのは日本独自の妥協的政治と考えてきたが、国際社会も、こういう場合は同じことを考えるわけだ。

 日本は、あのバブル破裂以後、財政出動が鈍く、タイミングを失った。戦力の逐次投入というまことに愚かな政策、びぼう策を連続させた結果、不況は十三年物長きに亘った。
 アメリカ人や中国人は、その性格的特質から、時間を遅らせる特技を持ち合わせず、即断即決、失敗を恐れない。
 だから発表は宣伝色が表に色濃く出る。
 もうすこし事態を見極める必要があるだろう。
  (次号完結)
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