減反政策をやめ、コメを増産し、コメを輸出すれば、食料安全保障に必

減反政策をやめ、コメを増産し、コメを輸出すれば、食料安全保障に必要
な農地を確保できるだけでなく、国際的な食料安全保障にも貢献できる。

2009年2月24日 火曜日
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/d/20090224 さん より

◆「兼業農家」が日本を滅ぼす  減反政策は諸悪の根源、コメを作って米価を下げよ この国のゆくえ  2009年2月20日 篠原匡

 「減反見直し」。昨年末、石破茂農相が投じた一石が農業界を揺さぶっている。政府は農政改革特命チームを結成。コメの生産調整の見直しを含めて議論し始めた。「コメの生産調整は必要不可欠」。米価維持が第一の農業関係者はこう口を揃えるが、減反に協力しない農家は数知れず。実効性は上がっていない。

 1970年以降、連綿と続けられてきた減反政策。転作を奨励するために7兆円の国費を投入してきたが、この40年で食料自給率は40%に下落。生産調整の対象になった水田の多くが休耕田になった。昨年、発覚した汚染米事件も、本をただせば減反政策に原因がある。農業関係者の利益のために、水田を水田として利用しない愚行。その制度疲労は明らかだ。

 「農協、自民党農水省」。減反政策と高米価政策を推し進めてきたのは、この鉄のトライアングルだった。そして、その恩恵を最も受けてきたのが兼業農家だった。この生産調整が日本の農業にどのような弊害を与えたのか。そして、今後の農政をどう考えればよいのか。長年、減反政策を批判してきた元農水官僚、山下一仁氏に聞いた。
(聞き手は、日経ビジネス オンライン記者 篠原匡)


 ―― コメの生産を抑制する減反政策。ようやく政府内でも見直しも含めた議論が始まりました。この減反政策がどれだけ政策として不合理なのか。その点からお聞かせください。

 山下 生産調整でコメの生産を抑制し、高米価を維持する――。これは、一言で言えば供給制限カルテル。ほかの産業であれば、独占禁止法の対象になる行為でしょう。「減反政策はカルテルである」。この点を、最初に強調しておきます。


減反政策はカルテルである」

 このカルテルで最も得をするのはカルテルを破るアウトサイダーです。カルテルを破って、カルテルで維持された高米価でコメを生産すれば間違いなく儲かる。だから、生産者をカルテルに参加させるための何かのインセンティブが必要になります。そのインセンティブが年間2000億円、累計で7兆円に上る補助金でした。

 この7兆円に上る補助金を負担しているのは誰でしょうか。言うまでもありませんが、私たち国民です。しかも、この高米価を維持するために、この国は輸入米に対して高い関税を課している。その代償として、ミニマムアクセスを設定し、一定の輸入米を購入している。

 ―― 年間77万トンのミニマムアクセス米ですね。

 山下 そう。778%という高関税を設定した結果、国内の消費量の8%に当たる77万トンを輸入するという約束を世界貿易機関WTO)と結びました。閣議了解事項でこのミニマムアクセス米は国内市場で流通させないことになっており、大半を海外の食料援助のために保管している。その保管料もバカにならない。

 1トン当たりの保管料は約1万円。77万トンを保管するだけで77億円かかる。もちろん、過去の在庫がありますから毎年保管料に100億円以上がかかる。しかも、国産米が玄米で流通しているのに対して、ミニマムアクセス米は精米の状態で輸入している。

 昨年9月、米加工会社、三笠フーズによる汚染米横流しが発覚しました。残留農薬やカビのあるコメを酒造会社などに転売した事件ですが、あのコメも大半はミニマムアクセス米でした。わざわざ腐りやすい精米を長期間保存しているわけですから、カビが生えるのも当たり前でしょう。


コメの主業農家を殺した減反政策

 ―― 汚染米事件の原因は減反政策にあったわけですか。

 山下 つまり、国民はカルテルで形成された高い米価と減反補助金の財政負担、ミニマムアクセス米の保管料と二重、三重の負担を強いられている。生産調整と高米価という消費者負担型の農政を展開した結果、減反政策を守るための財政負担がかかるだけでなく、77万トンのミニマムアクセス米を輸入し、その輸入米を保管するためのコストがかかっている。コストがコストを呼ぶ仕組みになっているわけですよ。

 ―― 減反政策は、国民に多くの負担を強いているわけですね。

 山下 この二重、三重の国民負担が減反政策の悪の1つ。さらに、もう1つの悪を挙げると、この政策のしわ寄せがコメ作りを専業にする主業農家にいったことでしょう。

 第1に、高米価政策を採ったことで零細の兼業農家が滞留した。ご承知の通り、コメを作るのはそれほど難しくありません。実際のところ、週末だけの農作業でもコメが作れてしまう。そうして作ったコメが高値で売れていくのだから、兼業農家が農地を手放すはずがありませんよね。

 零細の農家が水田を手放さなかったために、主業農家の規模拡大が難しくなった。規模拡大ができないのだから、コストを下げられない。コストが下がらないからコメを専門にしても所得も増えない。高米価政策の影響を受けたのは主業農家でした。

 それに、減反政策をやるのであれば、生産コストが高い兼業農家減反面積をたくさん背負わせればよかった。コメを低コストで生産しようと考えれば、規模が大きく生産コストの低い主業農家がコメを作り、高コストの兼業農家減反をすべきでしょう。そうすれば、兼業農家がコメを作るメリットが薄れ、主業農家に農地が集約されたはず。それが、国民のためになるし、コメを専業にしている主業農家のためにもなる。ところが、一律の減反配分をやってしまった。


農業の中でも異常なコメの世界

 ―― それはなぜでしょう。

 山下 農協の政治的な基盤は圧倒的多数の兼業農家。その兼業農家減反を強制することは自分たちの政治力を削ぐことになる。まあ、やりませんよね。その代償として、コメを専門に作る主業農家がどんどん不利になっていった。

 ほかの農業を見ると、酪農だって、野菜だって、主業農家のシェアは8割から9割はあるわけですよ。稲作だけですよ、主業農家のシェアが40%を切っているのは。こんな変な産業は農業の中でもないわけですよ。コメだけですよ、本当に。

 ―― 同じ農業の中でも異常ですよね。

 山下 異常なわけですよ。減反政策の悪はほかにもあります。当たり前のことですが、転作で作った作物と転作の奨励金を足したものが稲作の収益よりも高ければ、皆転作をしますよね。ところが、実際には、生産性の高い稲作農家は収益も高いため、転作には応じない。

 その代表が、秋田県八郎潟でした。八郎潟は生産コストが低いため、稲作の収益が高い。転作して奨励金をもらうよりも、稲作を続ける。だから、八郎潟減反賛成派と反対派で村を2分するような争いになった。同じことは新潟県も言える。新潟県の場合、生産コストはそこそこだけど、品質のいいコメができるので高く売れる。これまた収益がいいわけですよ。

(中略)

 ―― やはり農政改革の本丸は農協改革なのでしょうか。

 山下 農協が変わらなければ、本当の農政改革はできませんよ。

 ―― 生産調整の結果、水田の4割でコメ作りをやめてしまいました。水田を水田として使わない罪もありますよね。

 山下 減反政策によって約260万ヘクタールの農地が消滅しました。今の水田面積は250万ヘクタール。今ある水田面積と同じくらいの農地が耕作放棄や転用で消滅してしまった。工場用地や宅地の転用もやったし、公共事業で道路も入った。あるいは病院や学校が作られる。そうして、農地が消滅していったんですよ。


「もう嘘はやめるべきだ」

 農政は言っていることとやっていることが支離滅裂です。農業には水資源の涵養や洪水防止など、農業以外の重要性があると主張してきました。この農業の多面的機能は6兆円ある、と農政は主張している。ただ、その6兆円の3分の2ぐらいは水田の機能なんですよ。水資源の涵養、洪水防止、美しい景観――。これはすべて水田の機能です。ところが、一方ではこの水田をなくす政策を採っている。

 農水省は食料自給率の向上を叫ぶけれども、ジュネーブWTO交渉でやっていることは何だと。高関税を維持するために、ミニマムアクセスを拡大しようとしているわけでしょう。それが実現すると、消費量の8%だったミニマムアクセスが13%になる。これまでは財政負担で国内に流通しないようにしてきましたが、それだけ量が多くなれば財務省だってクビを縦には振らない。

 ―― 食料自給率が下がりますね。

 山下 下がるんだよ。言っていることとやっていることがこれだけ矛盾している政策もないと思う。「多面的機能があるので農業が必要」と言っておきながら、実際にやっているのはその多面的機能を削ぐような、減少させるような政策でしょう。「自給率を向上させよう」と言っているのに、ミニマムアクセスを増やそうとしている。誰のための農政なのか。農協のための農政ではないのか。もう嘘はやめるべきだ。

 ―― 政策の矛盾は農水官僚も分かっているのでしょう。

 山下 分かっているでしょう、さすがに。ただ、強く意識しているかは分かりませんよ。多面的機能という時、彼らは一方の減反政策を考えていませんからね。多面的機能も食料自給率の向上も農業保護の増大、あるいは維持のためですから。

 ―― 生産調整をやめたとすると、その後はどうすればいいのでしょうか。


「コメを作って米価を下げよ」

 山下 今の日本では東京都の1.8倍に当たる39万ヘクタールの耕作放棄が生じています。減反を強化しているにもかかわらず、この10年でコメの値段が60キロ当たり2万円から1万4000円に下落しました。農業経営が厳しくなるにつれて、農地を貸したいと思う零細農家も増え始めています。

 ところが、コメ価格は長期低落傾向にあり、次の収穫期にコメ価格がさらに下落する可能性もある。そのリスクを感じているため、主業農家も思い切って農地の拡大に踏み切れない。その結果、農地が引き取られず、耕作放棄が広がっている。

 この状況を解消するには、減反政策をやめるしかない。減反政策を段階的に廃止し、コメを自由に作らせる。もちろん、コメ価格は下落するでしょう。私の計算では、減反政策をやめると、コメ価格は60キロ当たり約9500円に下がる。この価格下落で影響を受ける下落分を直接、農家に支払えばいい。

 ―― 財政負担は増えませんか。

 山下 ポイントは主業農家にだけ支払うことです。コメの流通量700万トンのうち主業農家のシェアは約4割。この主業農家に、今の米価1万4000円と9500円の差額の80%程度を補填した場合、かかる費用は約1700億円になります。これは、生産調整のために農家に支払っている補助金と変わりません。


減反をやめれば「778%」の高関税も不要

 コメの価格が下がることで、農地を貸そうと考える兼業農家は増えるでしょう。差額補填で地代の負担能力が高まる主業農家も安心して農地を借りることができる。兼業農家も主業農家に農地を貸し出すことで、現状の農業所得を上回る地代収入が得られる。

 減反政策をやめ、主業農家への直接支払いを進めても財政的な負担は変わらない。9500円に米価が下がることで消費者も恩恵を受ける。9500円にまで米価が下がれば、需要は1000万トン以上に拡大すると見ています。

 さらに、関税を気にしなくても済む。日本米と品質が近い中国産短粒種米の実際の輸入価格は1万円近くまで上昇している。国内価格が9500円まで下がれば、今の778%という高関税は不要。ミニマムアクセス米の輸入も必要なくなる。そうすれば、食料自給率も向上する。処方箋はもうできているんですよ。

 ―― 農協以外の誰もが得をしますね。

 山下 それだけではありませんよ。国内消費しか視野になかったため、日本の農業生産は縮小してきました。確かに、日本の人口は減少しますが、アジアに目を転じれば、人口は増加していく。自動車や電機産業は海外マーケットに目を向けて発展してきました。これまで、国内の農業は国内市場の保護一辺倒でしたが、同じように海外市場に目を向けるべきでしょう。


「ストーブとクーラーを同時にかけている」

 食料自給率40%ということは世界の他の国から60%の食料を輸入しているということ。国際市場で食料を調達し、食料の調達に苦しむ途上国の飢餓を増幅させているということです。減反政策をやめ、コメを増産し、コメを輸出すれば、食料安全保障に必要な農地を確保できるだけでなく、国際的な食料安全保障にも貢献できる。
(後略)


◆日本は必要な小麦、大豆、とうもろこし等、どこからも輸入できなくなり、日本国民が食べるものがなく飢えに直面するという事態に陥ります。 2008年7月22日 株式日

◆マスコミは「零細農家イコール弱者」のような形で描きたがりますが、現実には彼らほど恵まれた人たちはいない。農家に一家心中無し! 2007年9月21日 株式日


(私のコメント)
昨日の「たけしのTVタックル」で政治家と官僚とマスコミの癒着振りを批判していましたが、中川大臣と玉木局長と随行の新聞記者の癒着はひどいものだ。6000万円もかけて大型ジェット機をチャーターして行ったそうですが、新聞記者たちも一緒に乗って行って、イタリアではワインのソムリエの玉木局長が中川大臣をワイン責めにして記者会見を行わせたらしい。

玉木局長と中川大臣とは高校大学と同窓であり親しい関係にあったそうですが、G7のたびにこのような大名旅行が行なわれて、現地の大使館は接待攻めで大臣をもてなしていたのだろう。新聞記者たちもアゴアシ付での随行だから国際会議はそっちのけで観光旅行をしていたようだ。

国際会議というと知恵を絞りあっての外交戦争が行なわれているような感じですが、実際にはパーティー三昧で英語も出来ないから情報交換出来る訳でもなく、自分たちだけのパーティーを開いてワイワイやっているらしい。中川大臣も正式の昼食会を抜け出して自分たちだけで美人記者と慰労昼食会を開いていた。一体何のためにイタリアまで行っているのだろう。

最近の新聞記者は現地の取材をしないで記者クラブの発表記事ばかりで紙面を埋めている。国会では「かんぽの宿」で問題になっているのに、新聞記者たちは実際にかんぽの宿に取材に行って赤字経営なのかを調べようともしない。昨日のニュースでは朝日新聞が架空の出張で経費をごまかして4億円もの脱税をしていたそうですが、いかに新聞記者が腐敗堕落しているかが分かる。

新聞記者は足で記事を書けと教育されるはずですが、カラ出張で経費を浮かして通信社の記事に少しアレンジをして記事にしているだけだ。欧米の新聞記事のような分析記事を書ける記者は少なく、政治家にくっついているぶら下がり記者は数ばかり多くて、気の効いた質問も出来ない。


農業問題は去年の汚染米の時や食料高騰に時に記事を書きましたが、日本の農業政策も抜本的な見直しが必要なのですが、石破農林大臣が減反政策の見直しを発言していますが、制度内容がぐちゃぐちゃになっており実態がどうなっているのかまるで分からない。食糧危機が起きて日本の自給率が40%を切ったという事はニュースになりましたが、自給率は下がる一方だ。減反政策はそれでも維持されるのだろうか?

酪農や野菜は8割が専業農家で作っているのに、米だけは専業農家が4割にしかならない。6割が兼業農家なのですが、米は手間がかからず土日の作業だけでも米作が出来る。だから会社勤めをしながらの兼業農家でも成り立つのでしょう。米の生産高は50万円とか100万円程度しかならず、これで農家とは言えないだろう。

減反政策は6割を占める兼業農家のための政策であり、専業農家にとっては足枷となってしまっている。減反政策は米の生産調整をして米を高く売る制度ですが、兼業農家保護政策なのだ。決して米作農家の保護政策ではない。日本では兼業農家ほど恵まれた世帯はないだろう。兼業農家で一家心中をした人はおらず、農地という名の低課税不動産を持った土地所有者なのだ。

兼業農家の主な収入はサラリーマン収入であり、農業収入は15%ほどでしかない。それなのになぜ彼らは農家と名乗るのだろうか? 農地としてけば固定資産税の安いし相続税も安い。そして住宅地や道路用地として売れば大金が転がり込んでくる。だから最近は米を作らずに放置していながら税金が安いから持っていられる。

それが小泉構造改革公共工事が減らされて道路や橋を作らなくなったから、土地を持っている兼業農家は農地を売るに売れなくなった。減反政策は米を作らずに補償金がもらえるから兼業農家にとっては働かないで収入になる。だから水田を潰して耕作放棄地にしている。ならば専業農家に貸せばいいのではないかと思うのですが彼らはそうしない。農地を売るときに不利益になるからだ。

マスコミが作り上げる零細農家=弱者はデタラメであり、兼業農家は数が多いから地方においては絶大な政治力があり、農業保護の名の下に年間2000億円もの補助金をもらい、累計7兆円もの国家予算を食い物にしている。地方では公共事業が減らされて小泉構造改革の評判はさんざんですが、民主党は農家への所得補償政策を掲げて参院選では大勝利した。

現在では輸入米に対して778%というとてつもない高関税をかけていますが、これは全く無駄な最策だ。このように米価を高く保つ為に調整しているのですが、零細農家ではいくら保護しても米作の合理化は進まない。酪農や野菜農家のように専業化を進めて輸入米との価格差を少なくして、高い関税は止めるべきだ。

汚染米にしてもミニマムアクセス米が起こした事件ですが、保管料だけでも77億円もの費用がかかる。まさに日本の農政はぐちゃぐちゃなのですが、マスコミがろくに農家を取材もしないで兼業農家=零細農家=貧しい弱者という間違ったイメージを植えつけている。ゆがんだ農政は日本の農業をますます衰退させていますが、専業農家で大規模化すれば米の海外への輸出も可能になるだろう。

マスコミは農家の高齢化を問題にしていますが、高齢化しているのは兼業農家であり、専業農家に土地を貸して米作の大規模化するチャンスでもある。しかし兼業農家は外国から安い労働者を雇い入れて農家としての体裁は続けるようだ。つまり大規模化に逆行して農業の人材派遣会社から外人労働者に耕作させて零細な米作を続けさせようとしている。

私はよく千葉に行くが中国人やブラジル人が地方に多くなった。農家の高齢化で農作業が出来なくなり、安い外人労働者に耕作させているのだろう。だから人材派遣会社が農業に参入しているのですが、規制の緩和で農業にも人材派遣が認められる日も近いだろう。