世に倦む日日『麻生首相の権力犯罪 - 官邸と検察による小沢失脚謀略

世に倦む日日麻生首相の権力犯罪 - 官邸と検察による小沢失脚謀略プロジェクト』(リンク)より、一部を引用します。久しぶりに無料記事を配信しておられます。
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小沢一郎の代表辞任で流れが固まったかに見えた政局が、例の政府高官の発言の一件で再び揺り戻しが始まり、情勢は混沌として行方が定まらなくなってきた。(中略)週末に調査して週初に発表する予定のマスコミの世論調査も、政情の変化を受けて設問そのものを設計変更せざるを得なくなった。小沢批判の民意だけでなく、検察批判や自民党批判の世論が反映された調査結果が出るように修正される。この世論調査の報道で小沢一郎が窮地に立たされると予想されたが、その事態は避けられたと見てよいだろう。

国策捜査の問題について、最初に、ロッキード事件を例に引いて民主党国策捜査批判に反論した町村信孝の3/5の発言について取り上げたい。NHKの7時のニュースでも紹介されたが、「簡単に検察を動かせるなら私どもの元首相が逮捕されるなんてことはなかった。常識を欠いた無茶苦茶な発言だ」と言っている。政府には検察の捜査に介入する権限や余地は一切なく、情報も全く知らされないと言っているのである。私を含めて当時を覚えている人間は、この町村信孝の発言に相当な違和感を覚えたのではないか。田中角栄逮捕を決断して検察にゴーサインを出したのは総理大臣の三木武夫である。この事実は当時のマスコミでも報道されたし、三木武夫自身が後日の回顧談で心境を証言していたのではなかったか。三木武夫が首相でなかったら田中角栄の逮捕はなかった。このことはわれわれの常識である。私はこの事実は日本の現代史の常識だと思っていた。だから、町村信孝歴史修正主義の発言に開いた口が塞がらない。検事総長は法相を通じて三木首相に角栄逮捕の諾否を打診し、権力トップの最終判断を得たのである。

今度の秘書逮捕は、明らかに麻生首相周辺の策動であり、指揮しているのは麻生首相本人である。そう疑い得るに十分な状況証拠が散見されるようになった。特に私が今度の捜査に麻生首相の臭いを嗅ぐのは、検察の片手落ちと露骨な国策捜査に対する批判が世論やマスコミから上がったとき、急に態度を変えるように、姑息に自民党議員関係者に対する捜査を開始して、それをマスコミに漏らし始めた動きを見て直感するのである。(中略)麻生首相と特捜部長の佐久間達哉は繋がっている。二階俊博の方に手を伸ばすよう指図したのも麻生首相だ。

二階俊博が選ばれたのは、二階俊博自民党の傍流の派閥領袖だったからで、最大派閥の尾身幸次森喜朗に捜査が及ぶのを防ぐ身代わりだったのではないか。二階俊博は道路族の重鎮であり、旧来型すなわち利益誘導型を標榜している政治家であり、総選挙で霞ヶ関批判を戦略的な宣伝材料に考えている麻生首相としては、二階俊博と道路族が世論の批判を浴びるのは悪くない。小沢一郎経世会二階俊博と道路族、これらは悪の表象となり、旧弊の象徴として「国民の敵」に仕立てられ、選挙戦でマスコミが攻撃する格好の対象となる。さて、政府高官発言と二階俊博への疑惑転移で絶体絶命の危機を脱した感のある小沢一郎だが、まだ安泰になったわけではなくて、来週には検察の参考人聴取のヤマ場が控えている。報道が表現を「事情聴取」から「参考人聴取」に変えた点に意味があるのか不明だが、この参考人聴取が政治目的のものであり、麻生首相の指示を受けた捜査であり、小沢一郎を代表辞任に追い込む作戦の詰めの一手であることは間違いない。週末から週初に世論がどう変わり、マスコミがどう報道するかで状況が変わるが、麻生首相小沢一郎の検察聴取を簡単に諦めるとは思えない。

この「参考人聴取」は、単に茶飲み話の形式的なもので終わるだろうか。その可能性もないわけではない。だが、検察はおそらく、小沢一郎を本件すなわち西松建設をめぐる政治資金規正法違反事件の主犯として立件する用意を整えているはずだ。(中略)もし仮に、この参考人聴取が逆に世論の非難を浴び、国策捜査批判と検察ファッショ批判の声が轟々となる事態になれば、聴取は失敗であり、2度目の聴取はなく、検察は敗北して秘書の起訴さえ危うくなる。小沢一郎と検察の戦争は、小沢一郎麻生首相の戦いでもあり、世論とマスコミがどう動くかで勝敗が決せられる。
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政府高官の発言によって国策捜査の真実が漏れたことで、この西松建設事件は単に小沢一郎による政治資金規正法違反や贈収賄事件ではなく、総理大臣と検察特捜部による前代未聞の権力犯罪としての様相がくっきりと浮び上がってきた。これは検察の捜査権を恣意的に利用した麻生首相の政敵追い落としの謀略工作であり、三権分立原理が定立された民主主義国家ではあってはならない窮極の権力の濫用事件である。総理大臣の権力犯罪である。特捜部は首相の私兵になっていて、刑事法の適用と捜査権力の執行を首相個人の政治謀略への奉仕に不当に隷従させている。私は、政治資金規正法の従来の適用を変えて、企業献金の悪習に厳罰で臨んだ今回の検察の捜査方針は支持する。だが、総理大臣の政治的私兵となり、選挙で与党を勝利させるために粗放な国策捜査に狂奔加担した行為は絶対に許すことはできない。民主主義と法治国家の基本前提を危うくする空前の権力濫用であり、国民に対する重大な犯罪行為であり、検事総長と高検地検の検事長と特捜部長は責任追及を受ける必要がある。どの段階で大久保隆規の逮捕が決定されたのか、従来の規正法の適用を変える法的判断はどういう事情と経緯で下されたのか、選挙が近い政治情勢への介入や影響は本当に考慮されなかったのか。

それらが検証されなければならない。西松建設前社長の国沢幹雄が外為法違反容疑で逮捕されたのが昨年の11/20。麻生首相は10月と11月に二度解散を打とうとして取り止めている。内閣支持率が劇的に低下するのは12月からで、12月以降は解散風を吹かすこともできず、景気と予算を口実にして見苦しく政権延命を続けるしか手がなかった。民主党に打撃を与える偽メール事件的な「神風」を喉から手が出るほど欲したはずで"あり、有効な情報材料を周囲に探索させていたはずだ。国沢幹雄に対する2か月間の取調で、小沢一郎への迂回献金が洗い出され、その詳細が逐一官邸にもたらされ、選挙対策の秘密兵器として熟成され、「政治団体を迂回した企業献金の摘発」という秘書逮捕を正当化する法的根拠を練り上げたのだろう。ネットの一部で言われているように、この事件の摘発に際しては小沢一郎側に協力者がいて、内部告発的に情報が入らなければならない。国沢幹雄だけの供述では、あれほど明解に「事件の構図」が暴かれることはなかった。小沢一郎の元秘書で次期衆院選自民党の候補者として岩手4区から出馬する高橋嘉信が、恐らくこの検察と官邸の秘密プロジェクトに絡んでいる。であるとすれば、秘書逮捕で作戦が始動した後、高橋嘉信は週刊誌やテレビに積極的に情報を持ち込んでいるはずで、それらが小沢叩きの地元ネタとして活用される予定だったはずだ。

しかし、官邸と検察による巨大な権力犯罪のプロジェクトの疑惑が浮び上がったとき、高橋嘉信の動きは逆に権力犯罪を立証する梃子にもなる。リバースがかかる。高橋嘉信が特捜部の検事と12月から1月に接触した事実はなかったか、件の政府高官との接点はなかったか、それを調べて疑惑が出てくれば、今回の恐るべき謀略の一端が明らかになるだろう。
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