中小企業の資金繰り倒産を防ぐ仕組みが求められている

中小企業の資金繰り倒産を防ぐ仕組みが求められている
経済アナリスト 森永 卓郎氏
2009年3月16日
 改正貸金業法の完全施行が経過措置期間を終えて、近く完全施行される。多重債務者を救済するためにグレーゾーン金利を廃止して利息制限法に一本化するというのが、この改正の大きな柱である。

 一般のサラリーマンの方にはピンと来ないかもしれないが、この改正が日本経済を支えてきた中小企業に大きな影響を与えるのではないかと危惧されている。なぜなら、この貸金業法消費者金融を縛るだけでなく、街金(まちきん)と呼ばれる企業金融も縛っているからだ。

 改正貸金業法によれば、貸金業者は利息制限法を守らなければならない。そうなると、消費者金融の場合はもちろん、事業融資でも20%を超える金利を取ることができなくなる。20%を超える利息をとっていた金融業者に対しては、その分の過払い請求が盛んに行われていることはご承知の通りである。

 そうした現状を踏まえて、与野党の議員の一部から、この法律を早急に見直すべきだという声が強く出されるようになってきた。というのも、過払い請求が次々になされていることによって、それへの支払いで貸金業者が追い詰められているからだ。事実、破綻や廃業に追い込まれた業者が、地方や中小を中心に増えている。

 そして、貸金業者が廃業すれば、中小企業の資金繰りが厳しくなる。現在、中小企業の資金繰り倒産が増えているのは、改正貸金業法のためだというのが、見直し派の言い分である。

 わたしは基本的には改正貸金業法の趣旨には賛成である。ただ、見直し派の言い分にも一理ある。問題は一筋縄ではいかないのだ。昨今の政治がらみの派手な話題にくらべると、かなり地味な話に思えるかもしれないが、日本経済にとって重要な問題であることは間違いない。
http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/column/o/176/ さん より