リチャード・クー氏はノーベル賞を与えるべきだ。「恐慌経済のフロー

nk2nk22009-12-13

リチャード・クー氏はノーベル賞を与えるべきだ。  BizPlus:コラム:
リチャード・クー氏「リチャード・クーのkoo理koo論」第14回「『財政出動』に向かう米国論調の留意点」 http://bizplus.nikkei.co.jp/colm/koo.cfm
リチャード・クー - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%AF%E3%83%BC
麻生首相にも「単なる友人で、経済顧問ではない」と見捨てられたリチャード・クー氏が、産経新聞で同じ話を繰り返している。彼は当ブログの記事を読んだらしく、講演会で「私のことを地底人と呼ぶ人もいるようですが・・・」と語っていたそうだ。
http://b.hatena.ne.jp/entry/blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/885a9726d564fb483e139efee2971425
 クー氏の理論は明確だ。金余りが発生し、その金を企業も個人も使わないときは政府が国債を発行して調達し、土木事業でも何でもいいから使用すればよい、ということになる。そして財政赤字がいかに膨らもうとも、バランスシート不況の場合はそれ以外の対処方法はないのだから、その財政赤字は「よい赤字」だということになる。
・・・
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2009/09/21831-efb6.html 
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  ・・・  『米国民56%、景気回復より財政赤字解消が重要 世論調査
http://www.cnn.co.jp/business/CNN200912120014.html
 ワシントン(CNN) 米国民の56%が景気回復の時期が延びたとしても巨額の連邦政府財政赤字を減らすことの方が重要と考えていることが最新世論調査で11日分かった。CNBCテレビが実施した。
 赤字がさらに膨らんだとしても景気回復が優先事項とするのは33%だった。(中略)
 CNNが先月実施した世論調査では、3分の1が政府は不況、戦争遂行の時期でも赤字財政を選ぶべきではないとしていた。 (後略)』

【借金返済型不況(=バランスシート不況)】  ・・・

 う〜む・・・・。別に、アメリカ国民の暮らしや生活水準に興味はないのですが、「世界経済」について考えたとき、この傾向はさすがにビビります。
 昨日はコメントしませんでしたが、現在のアメリカは家計や企業が「負債減少」に陥っている中、ただ一人、政府が負債を(前期比年率換算21%)増やすことで下支えを続けているのです。まさしく、1990年代前半の日本そのものです。


『第3四半期の米家計純資産は2.7兆ドル増=FRB
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-12882520091210

 ストック(国家のバランスシート)上での負債減少は、フロー(GDP)における支出(消費、投資)の減少です。しかも、現在のアメリカは「ゼロ金利」「量的緩和」という金融緩和状態にありながら、民間の負債は減っているわけですから、まんま借金返済型不況(=バランスシート不況)ということになります。
 ここで政府が財政赤字削減に走ってしまうと、マクロ経済崩壊へ一直線です。
 11月16日の「ダーウィンの罠 中編 
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-10389574120.html  」を思い出してください。このエントリーで、木下栄蔵氏の「恐慌経済のフローチャート」を取り上げました。

【恐慌経済のフローチャート
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_24.html#Kyoko

 フローチャートの中に
「マクロ経済が悪化し、政府は次の選択に迫られる」 
 『マスコミ等の批判に負けて財政再建に走る⇒マクロ経済崩壊』
 or
 『財政出動という正しい政策を行う⇒通常経済に戻り経済は安定する』
 という分岐点があります。まさに現在のアメリカは、この分岐点に差し掛かっていることになります。

 また、同フローチャートには、もうひとつ
「金融機関の間に信用不安が広がり、次の選択に迫られる」
 『マスコミ等の批判にまけて政府は公的資金を投入しない⇒金融経済崩壊』
 or
 『政府は公的資金を投入する⇒信用不安解消』
 という分岐があります。
 ご存知の通り、アメリカの場合は「大手金融機関」に公的資金を投入し、金融経済の崩壊は防ぎました。しかし、国民経済を担う地方銀行は打ち捨てられ、商業用不動産バブル崩壊により、早くも130を超える銀行が破綻に至っています。
 また、公的資金により息を吹き返した大手金融機関は、「アメリカ国内経済」のために実施されている金融緩和を活用し、低コストでドルを調達、海外の高利回り諸国に投資をすることで大いに稼いでいます。
 かつての日本と異なり、アメリカは「ウォール街(大手金融機関)の経済」と「アメリカ国民の経済」の二つに分離されてしまっているわけです。そのため、「政府は公的資金を投入する」を実施したにも関わらず、肝心の地方経済の信用不安は解消していません。

 かつての日本のバブル崩壊期や、アジア通貨危機などの時期は、アメリカ家計の需要、すなわちアメリカ以外の国にとっては「外需」により、随分と国内経済のショックが緩和されました。しかし、現在はそのアメリカ経済自体が、「恐慌経済のフローチャート」の分岐点で右往左往している状況なわけです。
 先日のアスコムさん主催のセミナーで、わたくしの対談相手の方が、
「世界は『インフレ期』の経済学は持っているが、『デフレ期』の経済学は持っていない」
 という主旨の、非常に印象的な発言をされていました。
 現在のメディアに登場する経済学者や自称評論家たちの言っていることが、いまいちピント外れ(例:政府が国債を発行すると金利が上昇するので、ダメだ!とか)なのは、彼らが『インフレ期』の経済学しか知らないためなのではないでしょうか。
 さらに、テレビなどに登場する経済学者たちは、彼らが現在知識として保有する「インフレ期の経済学」により飯を食っているわけです。だからこそ、彼らはインフレ期とは環境が全く異なる状況にありながら、相も変わらず「インフレ期の経済学」を振りかざさざるを得ないのだと思います。

 環境が変化しているにも関わらず、新しい環境に適応する拒む「種」は、ことごとく滅んできました。日本のマスメディアや自称経済評論家の皆さんの運命に、注目させて頂きます。
・・・
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-10410014036.html
さん より