タイトル: 国民目線を無視した小沢失脚劇

ベンチャー革命2009年3月7日                 山本尚利

タイトル: 国民目線を無視した小沢失脚劇

1.小沢民主党党首への罠

 2009年3月3日のひな祭りの日、東京地検特捜部は小沢一郎民主党党首の公設第一秘書を西松建設からの違法献金受領の容疑で突然、逮捕しました。西松建設幹部が裏金捻出容疑で東京地検に逮捕されたのは今年の1月です。この事件当時、ネットでは小沢氏があぶないとうわさされていました。案の定、この西松幹部逮捕事件は今回の小沢氏秘書逮捕劇の伏線だったことがわかります。民主党への政権交代が実現しそうなこのタイミングで小沢氏失脚を仕掛けるのは何らかの政治的意図があるのではないかと国民誰もが疑っています。民主党幹部は、これは国策逮捕だとか陰謀だとか口走っています。しかしながら、秘書逮捕後に地検からリークされたと思しき情報(小沢氏に不利な情報)は、どれもありそうな情報ばかりです。証拠もつかんでいるのでしょう。西松のつくったミエミエのダミー政治団体からの小沢サイドへの献金は合法であっても、実際には、西松からの企業献金(違法)であることは子供でもわかる話です。これまで政治資金規正法は何度も改正されてきているようですが、意図的に抜け穴が設けられて、迂回献金ができるようになっています。つまり、この法律は検察権力が恣意的に運用できるようにして、必要に応じて政治家を失脚させる絶好の「ネズミ捕り」と化しています。今回、小沢氏にその非常手段が行使されたものとみなせます。

2.小沢氏失脚の仕掛け人は誰?

 今回の小沢氏失脚の仕掛けはあまりに露骨であり、子供でもわかるほどミエミエです。そこで誰もが想像するのは仕掛け人はいったい誰かということです。一般的には、小沢氏失脚で喜ぶのは誰かを想像すれば、およそみえてきます。もっとも喜ぶのは(1)今年9月までに下野を余儀なくされるであろう自民党関係者でしょう。次に(2)対米従属の日米安保を維持したい軍事・エネルギー産業系の米国覇権主義者(戦争屋)でしょう。そして(3)民主党政権誕生により苦境に立たされる官僚権力(既得権益受益者)でしょう。

 上記の3セクターはすべて今の日本を牛耳る三位一体の権力集団であり、多くの場合、彼らの利益は国民益に反することになります。

 今回の小沢失脚劇は三者の利害一致で闇合議の上で実行されたのか、それともどれかのセクターが単独に実行したのかは不明です。

3.カネをネタにした小沢攻略は自民党にとって諸刃の剣

 一般的に政治家を失脚させる方法は3通りあります。陳腐ですが、カネかオンナかサケ(KOS)です。与党、野党を問わず利権政治家の全員がKOSのどれかに引っかかるはずです。なぜなら、利権政治家になっている人間は元々KOSが大好きだからです。彼らはKOSが大好きだからこそ政治家をやっているほどです。小沢氏の場合、KOSのなかでもっともポピュラーなカネ(K)が失脚手段に選ばれたのです。しかしながらKは政治家を簡単に落としやすい反面、仕掛け側にも火の粉が降ってくる危険があります。小沢氏をカネで落とそうとした場合、彼だけを落とすのは非常に困難です。今回も小沢氏と同様に西松から献金を受けていた自民党政治家は大勢います。今回の仕掛け人が自民党関係者だとすれば、同党にとってKによる小沢攻略はまさに諸刃の剣でした。元々自民党の利権政治家であった小沢氏が強気である理由もそこにあります。小沢氏を有罪にしたら、自民党政治家のほとんども有罪にしなければ、司法の公正を欠くことになります。法的不公正は民主主義国では絶対に許されません。

 自民党関係者が仕掛け人だとすれば、返り血を浴びるのを覚悟の小沢攻略であり、それだけ追い詰められていることを物語っています。来る衆院総選挙に向けて国民は冷静に判断すべきです。

4.戦争屋の謀略の可能性は?

 小沢氏は米国オバマ政権誕生の立役者ジェイ・ロックフェラー(銀行屋ボス)にサポートされていますから、ジェイの宿敵デビッド・ロックフェラー(戦争屋ボス)にとって小沢氏はまさしく攻略の対象です(注1)。そのため、デビッド率いる戦争屋が小沢失脚を画策する可能性は十分あります。特に小沢氏は最近、対米従属の日米安保を批判しています(注1)から、彼が狙われる危険は高まっていました。しかしデビッド所有のシティバンクが事実上破綻している現況では、デビッドは日本の政治に介入している余裕はないでしょう。しかも戦争屋の担いできたブッシュ政権はもはや存在していませんから、ジャパンハンドラーの活動も停滞しているはずです。

 筆者は、小泉政権郵政民営化を実現しようとしていた2001年から05年にかけて、えひめ丸事件、北朝鮮拉致被害者帰国劇を含めて戦争屋のコントロールする闇組織が暗躍したと信じています。これに戦争屋の宿敵、銀行屋(国際金融資本のオーナー)も悪乗りしてきました。しかし今回の小沢攻略は、その手口があまりにミエミエであり、謀略のプロである戦争屋による直接の仕業(具体的には戦争屋による検察への圧力)とは思えません。しかしながら、戦争屋から闇資金供給を受けてきた日本国内の闇組織(反民主党勢力)は、ブッシュ政権時代から小沢氏を含む大物政治家の資金源を徹底調査して証拠を大量にもっているはずです。なぜなら、与党、野党を問わず日本の利権政治家のほとんどは、彼らに弱みを握られており、必要に応じていつでも落とせるようになっているといわれているからです。東京地検自体に政治的意図がなくても、上記の闇組織から特定の政治家の違法行為の証拠を提供されたら。東京地検は否応なしに動かざるを得ません。また大手ゼネコンが、身の程知らずの中堅西松を苦々しく思っていたのは確かです。その意味で大手ゼネコンからの情報提供があった可能性も捨て切れません。さらに民主党内に潜む反小沢派からの情報提供も考えられます。

5.民主党政権誕生を阻止したい官僚権力は?

 民主党マニフェストは基本的に米国並みの政治家主導体制ですから、官僚主導国家日本で甘い汁を吸っている官僚権力にとってはなんとしても小沢民主党への政権交代を阻止したい意図は極めて強いはずです。彼らはすでに日本の国民益を考える余裕を失っており、自分たち既得権益を死守したいがため、日々高まる民主党人気の失墜を窺っていたはずです。しかしそれにしては、これまで官僚権力による民主党攻略の小細工はあまりみられなかったように思います。今回の小沢失脚劇が官僚単独犯行なら、これまでも何らかの小細工が観察されていたはずです。そしていくつかの小細工の延長に今回の小沢秘書逮捕があったはずです。筆者の推測では、小沢失脚願望の官僚権力の背中を押した勢力が別にいるような気がします。つまり自民党、戦争屋、官僚権力の共犯説です。これなら官僚権力は嬉々として、小沢失脚に奔走するでしょう。実際、マスコミ関係者によれば、今回の東京地検の行動は、事前に総理官邸からの了解なしにはありえないとのこと。小沢氏はこのような日本政府の内部事情に精通しているはずです。

6.無視された国民目線

 今回の騒動が自民党、戦争屋、官僚権力の三位一体による小沢攻略とすれば、彼らには誤算があります。それは国民目線の存在を忘れている点です。自民党も戦争屋も官僚権力もそれぞれ追い詰められています。そのため国民目線の存在をすっかり忘れていました。それぞれ、おのれの利権、既得権益の追求に目がくらんでいます。国民をなめてはいけません。国民も今度こそなめられてはいけません。すでに国民の多くは今回の東京地検の行動に強い疑問をもっています。指摘された小沢氏の違法行為は事実でしょうが、自民党政治家誰もが暗黙の了解で長年、繰り返してきたものとなんら変わりません。なぜ小沢氏だけが・・・と国民は思っています。みんなで渡れば怖くないという理屈で小沢氏は実質的に違法行為をやってきたのは確かでしょうから、この際、速やかに党首を交代すれば民主党への追い風は復活するでしょう。そして返す刀で同様の実質的違法献金を受領してきた大半の自民党政治家を糾弾すればよいわけです。民主党にとってわざわい転じて福となすチャンスです。もし、小沢氏がシラを切って民主党党首の座に居座り続ければ、悪夢のオウンゴール再開です。すなわちそれは隠れ親米派小沢氏のウラ・ミッション行使(注2)につながります。またもや民主党の自爆でうんざりとなります。次期総選挙で民主党の地滑り大勝利は遠のき、選挙後、日本の政界大再編が起きて、結局、親米二大政党体制に移行することになります。こうなったら日本国民は永遠に幸福になれません。次期選挙で再び、国民の知性が試されます(注3)。今度こそはだまされないようにしましょう。

注1:ベンチャー革命No.287『自衛隊による自主防衛論:小沢発言と田母神発言の共通性』2009年2月28日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr287.htm

注2:ベンチャー革命No.190『小沢民主党新代表のミッションとは』2006年4月11日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr190.htm

注3:ベンチャー革命No.174『9.11衆院選挙:日本国民の知性が試される日』2005年8月18日

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr174.htm

山本尚利(ヤマモトヒサトシ)

hisa_yamamoto@mug.biglobe.ne.jp

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/melma.htm

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/magazine-menus.htm

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr288.htm ベンチャー革命2009年3月7日 さん  より