郵政事業の4分社化は根本から見直すべきだ

郵政事業の4分社化は根本から見直すべきだ  経済アナリスト 森永卓郎 2009年3月09日  政治は一寸先が闇というが、このところの出来事は、まさにその言葉を地でいっているようだ。あまりの変化の早さに、今から1カ月たらず前の2月12日、小泉元総理が「怒るというより、笑っちゃうくらい、ただただ呆れている」と、麻生総理の郵政民営化見直し発言を痛烈に批判したのは、はるか昔の出来事のようにも思われる。

 しかし、郵政民営化に関しては、現在の政局とは別に、どこかではっきりと総括しなければいけないとわたしは考える。これは国民の大切な財産をどうするかという問題でもある。現在の民営化路線が本当によいのか、あるいは元に戻したほうがよいのか、それとも第三の道があるのか、国民にとってどの方法がもっとも有利なのかをじっくり検討するべきではないか。

 そう考えて、前回に引き続き、郵政民営化について取り上げてみたいと思う。

 小泉元総理の発言があった3カ月前、昨年11月に麻生総理がいきなり奇妙な発言をした。郵政民営化の見直しに関連して、「日本郵政株式会社の株式売却を凍結する」と言い出したのである。

 その時点で、わたしは正直いって、「突然、この人は何を言い出すのだろうか」といぶかった。なぜなら、株価低迷を心配して売却凍結を言い出したと思ったからだ。メディアの受け取り方も似たりよったりであった。

 だが、株式の売り出しがはじまるのは早くても2010年だ。そのときの株式相場も分からないのに、今の相場が悪いからと言って、売却凍結を議論しても意味がない。時期が近くなって言うならともかく、なぜ昨年11月という時点で言い出したのか。失礼ながら、「また麻生総理が変なこと口走った。まさか売却時期を知らないんじゃないだろうか」とさえ、わたしは思ったのである。

 だが、発言の真意は別のところにあった。それがようやく理解できたのは、その後の麻生総理の4分社化見直し発言を聞いたときのことである。 http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/column/o/175/ さん  より